スポーツ

松尾雄治氏が占う2019ラグビーW杯 「ベスト4なら最高」

松尾雄治氏が営む東京・西麻布のダイニングバー

 今後日本で行われる大きなスポーツイベントといえば、2020年の東京五輪が真っ先に挙げられるが、その前年にはラグビーのワールドカップ(W杯)も日本で開催される。前回のイングランド大会で、日本代表が強豪の南アフリカから劇的勝利を収め、“五郎丸フィーバー”に沸いたのは記憶に新しいところだ。

 そこで、日本ラグビー界の「レジェンド」として知られる元日本代表の松尾雄治氏(63)に、W杯への期待や、昨年53歳の若さで急死した戦友・平尾誠二氏との思い出、自ら経営するダイニングバーでの幅広い交友録などを聞いた。

 * * *
──いよいよ日本開催のラグビーW杯まで1000日を切りましたが、どんな心境ですか。

松尾:日本でラグビーのワールドカップが行われるなんて大変な機会だから、やっぱり良い大会にしてほしいというのが本音だよ。

 ただ、ラグビーはルールがどんどん変わるし、国と国との戦いが楽しみなワールドカップだけに、日本代表に外国人選手を何人入れるのかという問題もあるでしょ。どうしても体格のいい外国人をたくさん入れたほうが強いんだから。

──とはいえ、日本チームが快挙を成し遂げた前回のW杯では、小柄な田中史朗選手が巨体の選手に果敢にタックルしに行くなどガッツ溢れるプレーで、多くの感動を呼びました。

松尾:日本人の諦めない気持ち、粘り強いプレーが観客にも伝わったよね。本来、ラグビーの応援は、どこの国に行っても勝ち負けの問題ではなく、好プレーが出たら、例え相手チームの選手でも惜しみない拍手を送り、怠慢なプレーに対しては全員がブーイングするもの。

 でも、いまの時代はどうしても勝ち負けの結果がすべてでしょ。マスコミの盛り上げ方にも問題があるんじゃないかな。

──日本大会では、全国12会場の中に東日本大震災で被害を受けた岩手・釜石市のスタジアムも選ばれました。現役時代、新日鉄釜石で長らくプレーしてきた松尾さんにとっても、感慨深いのでは?

松尾:釜石には9年もいて、第二の故郷みたいなもんだからね。震災後も新日鉄ラグビー部のOBらで被災地支援の「スクラム釜石」を結成して、チャリティートークショーには、大畑(大介)君やマコーミック、平尾(誠二)なんかも来てくれたんだ。

 少しでも地元の人たちを元気づけたいと思ってきたから、ワールドカップの開催で、さらに復興に弾みがつけばいいなと、心から願っていますよ。

──松尾さんとともに1980年代の黄金期を支えた平尾さんが突然亡くなり、W杯を控える日本のラグビー界にとっては大きな損失となりました。

松尾:今でこそラグビーにもプロの道が開けて活躍する選手も出てきたけど、昔から日本のラグビー界は閉鎖的なところがあって、「ラグビーは大学まででいいんじゃないか」と話す人がいたぐらい。それじゃ、野球やサッカーのように子供たちに夢や希望を与えるスポーツにはならないよね。もちろん、お金を稼ぐことだけがすべてじゃないけど。

 そんな中で、平尾は協会側に入って、内部からラグビー界を変えていこうと頑張っていたし、僕は外で暴れ回っていろんな情報発信をしながら、時には平尾に教えたりもした。そうやって「お互いに役割分担をしてラグビー界を盛り上げよう」という暗黙の了解ができていたんだ。だから、彼を失って本当に残念でならないよ。

トピックス

大谷翔平の投手復帰が待ち望まれている状況だが…
大谷翔平「二刀流復活でもドジャースV逸」の悲劇を防ぐカギは“7月末トレード” 最悪のシナリオは「中途半端な形で二刀流本格復活」
週刊ポスト
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
“進次郎劇場”で自民党への逆風は止まったか
《進次郎劇場で支持率反転》自民党内に高まる「衆参ダブル選挙をやれば勝てる」の声 自民党の参院選情勢調査では与党で61議席、過半数を12議席上回る予測
週刊ポスト
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
「生肉からの混入はあり得ないとの回答を得た」“ウジ虫混入ラーメン”騒動、来来亭が調査結果を公表…虫の特定には至らず
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
衆院広島5区の支部長に選出された今井健仁氏にトラブル(ホームページより)
【スクープ】自民広島5区新候補、東大卒弁護士が「イカサマM&A事件」で8000万円賠償を命じられていた
週刊ポスト
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談【第24回】現在70歳。自分は、人に何かを与えられる存在だったのか…これから私にできることはありますか?
週刊ポスト
自民・公明・立民が成立させた年金改革法案に重大問題 「厚生年金の減額期間」をこっそり延長、法案採決に欠席した河野太郎氏は「国民の年金への信用を失う」と憤慨
自民・公明・立民が成立させた年金改革法案に重大問題 「厚生年金の減額期間」をこっそり延長、法案採決に欠席した河野太郎氏は「国民の年金への信用を失う」と憤慨
マネーポストWEB