「当時の俺は、今更ながらたいしたもんだと思う。売り上げはピークで年商30億を超えたし、家を買って車も7台持っていた。もっとも、そう思えるのはこの年になったから。何だってそうだけど、勝てた瞬間ではなく、後になって嬉しいって思えるんだ」
ところが中日を五勝三敗で順調に折り返すも、ここからなんと4連敗を喫して土俵際に追い込まれる。
「日本のマーケットは平気で手のひらを返すから、あれだけもてはやされたのが嘘のように赤字を出した。自分の身の丈を超えていたんだろうね。うつ病にもなった。50歳の時は、人生最悪だったよ」
会社の縮小を余儀なくされ、家も車も、さらには自身のブランドまでも手放した。積み上がった15億円の借金を返済する生活。そんな小西氏が連敗街道を抜け出したのはようやく十三日目(61~65歳)。
「借金返済の目処も立って、これから人生をどう楽しんでいこうかと考えるようになったんだよ。62歳の時に心臓弁膜症の手術を受けて30代の心臓も授かった」
現在の成績は六勝七敗。勝ち越すには一番も落とせない状況に変わりはないが、小西氏は明るい。
「守りに入らずに生きていれば連勝できる。そうすりゃ八勝七敗で立派な勝ち越しだよ」
※週刊ポスト2017年3月10日号