その距離感は、イギリス王室に近づきつつあるという。イギリス王室に詳しいジャーナリストの多賀幹子氏が解説する。
「イギリス王室は以前からとてもオープンで、ロイヤルたちが支援する団体のチャリティーなどに参加すれば、実際に会うことも不可能ではありません。私もエリザベス女王にお会いしたことがあります。雑誌や新聞では人気投票が行われ、ウイリアム王子よりもヘンリー王子が上位になったときには大きな話題を呼びました。国民が高い関心を持って王室を見ていることがうかがえます」
一方、距離感の近さは国民の間にゴシップ的な関心を生み、批判的な声がロイヤルたちに届きやすくなってしまうという弊害も招いた。
「いちゃつくチャールズ皇太子とカミラ夫人のそっくりさんを、エリザベス女王役の女優が追いかけ回すというコメディー番組が放送されたこともあります。恋愛やバカンスの様子などが報じられることも多く、好奇の目にさらされることも増えました。ひと度バッシングが始まれば社会的な大問題になりかねず、王族たちのダメージも相当なものになってしまいます」(前出・多賀氏)
日本とイギリスの王族を取り巻く環境にはまだまだ大きな差はある。だが、どこか遠くにあった皇室は、今では多くの人にとって身近な存在だ。同時に、畏れ多い対象だった皇族方に対し、好奇の視線を送る土壌ができあがりつつある。
「“佳子さまフィーバー”は最たる例でしょう。ただ、皇族方は芸能人やモデルとは違って、自ら進んで注目を浴びる世界に飛び込んだわけではないのです。過剰に反応されれば戸惑うこともあるでしょうし、結果として、それは皇室においてロイヤル病が“発症”する環境をつくり上げてしまった」(前出・皇室ジャーナリスト)
そうして、イギリスやスウェーデンで起きた苦しみが、愛子さまにとっても繰り返しかねない事態を招いてしまったのだ。
ダイアナ妃は、行きすぎた拒食に自殺未遂騒動まで引き起こした。専門医の治療を仰ぎ、自分の姿を鏡で見たり写真を撮ったり、採寸するなど心のハードルを越えるセラピーを受けた。それでも再発をくり返し、克服には2年以上の月日を費したという。ヴィクトリア王女は、1998年から2年間も母国を離れ、アメリカでの留学も兼ねて本格的な治療を受けた。拒食症には、それだけ長期にわたる治療が不可欠なのだ。
冒頭に綴った愛子さまの欠席について、宮内庁は会見で「体調不良で、一時微熱があったが回復した」と説明した。宮内庁が愛子さまの状態を言葉通りに認識しているなら、解決の糸口は遥か遠いといわざるを得ない。
※女性セブン2017年3月23日号