芸能

沢田研二のファン、彼の外見と内面の変化をまるごと受け入れる

無理に外見を飾らず年相応の変化を受け入れるジュリー

 3月11日、ジュリーこと沢田研二(68才)が新アルバムを発売した。タイトルは『ISONOMIA』。ギリシア語で「自由かつ平等である状態」を意味する。表題曲は、アップテンポのメロディーに、ジュリー特有の艶のあるミドルボイスが重なる。そして、歌詞の内容は自然の大切さを時、原発にNOを突きつけるものとなっている。

 ジュリーは今年2月、デビュー50周年を迎えた。毎年恒例の正月ライブツアー(1月8~25日)は、全公演チケット瞬殺の大盛況。

「会場を埋めるほとんどは、全盛期からジュリーを追いかけ続けているマダム。私が参加したのは有明で行われた最終日で、当日は機材トラブルで開場が1時間遅れたのに、みな文句ひとつ言わずに待っていた。ジュリーの登場時は大歓声ですよ。往年のヒット曲は一切歌わないんだけど、それでいいんです。MCも最高に面白いの」

 興奮気味にそう話す60代の女性ファンによれば、今回のツアー中、ジュリーはMCで自分の年齢をたびたびネタにしていたという。

「(日本老年学会の「高齢者は75才以上から」とする提言を受けて)世の中余計なことを考える人がいて、老人と思ってるのに、急に老人じゃないと言われました。年寄りをなんとかボランティアで使おうっていう魂胆が見え見えや」

「こないだ病院で大腸の検査したんだけど、ポリープの一個もなかった。今日もトイレ入ったらウンコが止まらなくて、それで遅れちゃった」

 一世を風靡した『ザ・タイガース』時代から一転。白髪に無精髭、ポッコリお腹を携えても、ファンはジュリーの“貴重な”一挙手一投足に目が離せない。

 ジュリーは近年、ライブはやるがメディアには出ない生活を続けてきた。この5年で答えたインタビューはごくわずか。そこではこんな胸中を語っている。

《18才でこの世界に入り、いつまでもアイドルじゃないだろ。昔はジュリー、今はじじい。(中略)60才超えたら余生。ひそやかにやるのが今の自分に合っている》(2012年5月、朝日新聞)

《過剰な情報を流して無理に振り向いてもらっても何にもならない。好感度ランキングがやたら大事にされて、今の芸能人はみんなが『いい人と思われたい症候群』になっている。こういう雰囲気が嫌いなんだよ》(2014年3月、毎日新聞)

 ジュリーを決定的に変えたのは、2011年3月11日の東日本大震災だった。還暦前、「これからは言いたいことを自由に言う」と決めたというジュリー。だが3.11に直面し、打ちのめされた。

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