• TOP
  • 国内
  • 前橋市が公認展示「吉田松陰の刀」に持ち上がった真贋論争

国内

2017.04.16 16:00  週刊ポスト

前橋市が公認展示「吉田松陰の刀」に持ち上がった真贋論争

◆「長さ」も「銘」も違う!

 前橋文学館で市が配付する資料によれば、短刀の柄を含めた長さは約42センチ(刀身は約31センチ)で、銘は「国益(くにます)」となっている。

 配付資料で市側は『絹と武士』の記述との食い違いを認めつつも、長さは〈「35センチぐらい」と思える〉と“だいたい一致している”という見解を示す。さらに、短刀を入れる袋の紋と楫取家の家紋が似ていることなどを説明し、〈(銘が)「国富」でなく「国益」であるが、上記のような情況から総合的にみて、(中略)松陰の形見の短刀であると判断〉したというのだ。

 総合的というより、何とも大雑把な“判断”に思えてしまう。この短刀には専門家から信憑性に疑義が呈された経緯もあるという。山口県の郷土史家がいう。

「松陰の妹が主人公の大河ドラマ『花燃ゆ』(主演・井上真央、2015年)の放送を翌年に控えていた3年前、地元・萩市がこの短刀の展示を検討し、調査の結果、見送った経緯があるのです」

 その経緯を萩博物館学芸員の道迫真吾氏が語る。

「米国在住の萩出身者を通じて新井の曾孫を探して最初にコンタクトを取ったのは私です。短刀の存在を確認し、写真を見て検討しましたが、史料と異なる点が多く、本物とは判断できなかった」

 新たな判断材料もなく、前橋市が同じ短刀を本物と発表したことについて道迫氏は、「可能性はゼロではないが、断定するのは早計では。そんなレベルじゃないと思う」といい、〈萩市でも展示される予定〉(3月29日付、東京新聞)と報じられたことについては、「萩市が本物として展示する予定はない」と言い切った。

関連記事

トピックス