また、かの徳川家康も「人の一生は重荷を負うて遠き道をゆくがごとし。急ぐべからず」で始まる遺訓を残した。子孫が守るべき心得を明示し、最後は「己を責めて人をせむるな。及ばざるは過ぎたるよりまされり」と忠告している。そこに「忖度」の余地はない。だから江戸幕府は15代・265年も続いたのであり、これが日本の伝統なのだ。

 長期政権の“暗黙の圧力”による「忖度」に身を委ねている安倍首相こそ、こうした日本の伝統を軽視しているのではあるまいか。

※週刊ポスト2017年5月5・12日号

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