当時「三種の神器」といわれた家電は、白黒テレビ、冷蔵庫、洗濯機。この3つの家電を持つことが庶民の夢だった。
1960年の普及率は、テレビ44%、洗濯機40%、冷蔵庫10%だった。1968年には、GNP(国民総生産)がアメリカに次いで世界第2位に躍り出た。1970年には、テレビ90%、洗濯機91%、冷蔵庫89%になるまで広まった。
前出の橋爪さんは、大阪ミナミのど真ん中で生まれ育った。子供の目にも、年々日本が変わる状況がわかったという。
「家の窓が木製からアルミのサッシに変わりました。勝手口の鍵がフック式の引っかけタイプだったのが、きちんとシリンダー式で開け閉めするようになった。テレビが白黒からカラーになっていた。家にはなかったけど、事務所に初めてクーラーがつきました。
子供社会も変わりました。子供向けの特撮番組『ウルトラQ』がテレビで始まり、映画館でしか見ることができなかった怪獣が家庭で見られるようになった。『少年サンデー』などの週刊漫画誌が人気になった。日々豊かになっていくという実感が子供心にもありました」
道路でキャッチボールをしていたが、車が頻繁に通るようになり、できなくなった。郊外に団地が建てられ、都心に住む人が少なくなっていった──。
※女性セブン2017年5月11・18日号