キャットシッター歴25年の「猫のプロ」、南里秀子さん


──不妊手術には賛否ありますが、するべきでしょうか?

 不妊手術について、今の日本の現状では、私は不妊手術をするべきだと思います。今は人と猫の距離がかなり近いですよね。子犬の殺処分の割合はどんどん減ってきているのに、子猫の殺処分の割合が60%でずっと横ばいなのは、猫を家に入れた人の認識が甘いことが原因ではないでしょうか。愛猫家も、わがままだったり気まぐれだったり、猫と同じような性格を持っている傾向があるんですね。そういう自由なところが裏目に出ると、生まれた子猫を捨ててしまったり、家を猫屋敷にして崩壊させてしまったりということになる。「可哀想だから」という感情論で続けてしまうと、そういう悪循環にはまってしまうんじゃないかと思います。

 犬と猫では、暮らす人にもそれぞれ違いがあって、犬と暮らす人は勉強好きで、本に書いてあることを素直にやろうとする。一方、猫の人は、本はやたら読むんだけど、自分がやりたくないことはやらない(笑)。そして自分のやり方に固執して続けるような、人の話を聞かない頑固なところがあるので、実は猫とつきあうのと同じくらいに大変な部分もあるんです。「猫ちゃん大好き!」と言うような人は大抵母性が勝りがち。父性的な社会のルールや理性でコントロールするべきところが弱いと、どうしても感情に流れてしまいがちになるんですね。

◆猫が健康でいるために

──ワクチンや健康診断など、人間と同じように猫の医療もサービスが拡大していることについてどう思いますか?

 それは本当に必要なのか、それとも病院の経営を手助けしているのかを考えてみることですね。世の中は経済で動いているので、猫ブームに乗じてお金を儲けようと狙っている業界はいっぱいありますから。検査をしたからといって、すぐに症状や病気が治るわけではないことに気がついていれば、「その検査は結構です」と言えますよね。動物病院に連れていけば治してもらえると考えないことです。本来、人も猫も自分で治ろうとする自然治癒力を持っているわけですから、まずはそれを使うべきでしょう。

 まず最初に、彼らの生きる力がいちばん尊重されるべきなのに、「ここの病院につれていけば」「薬を飲ませれば」としてしまいがちなんです。そのほうがわかりやすいし、効果が早く出ますからね。でもそれは、猫のためではなく、自分の心配を取り去りたいからではないでしょうか?「今やろうとしていることは私のためではないのか?」と、自分自身に問いかけられる人であれば、おそらく猫といい関係を持てているはずですし、猫が病気になることも少ないように思います。

──病院へ連れて行かないほうがいいんでしょうか?

 それは猫に聞いてみましょう。「行ったほうがいい?」って。猫は必要なときには薬も飲むし、キャリーケースにも自分で入ります。自分がしんどいときは、助けてほしいから人を使うんです。でも元気なときは「病院なんて行かな~い」って逃げ回るんですよ。

──猫のゴロゴロ音が、猫だけでなく人間の不調も快復させるとは驚きでした。

関連キーワード

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン