「僕は『ろうがんず』という老眼者限定のプラモデルサークルをやっていますが、専門用語でも昔のキットの話でも、パッとみんなと通じ合う。それが実に痛快でね。好きなことを同じくする人たちが集まると、そこが“やすらぎの郷”になるんですね。
中高と男子校で、同級生の友人はやすらぎの郷を“こもれびの郷”と言い間違えるようなボケかけた連中なんですが(笑い)、その子供や孫が放送を観てくれて、『観たことがないけど、魅力的な女優さんたちだ』と話してるって。いまのままの姿を観て、素敵だって。あぁ、そうなんだって嬉しくなる」
共に歩み続けてきた女優たちへの讃辞を、自分のことのように喜ぶ。
劇中の施設の名称「La Strada」は、イタリア語で「道」を意味する。好きなことを一途にやり続けることがやすらぎであり、道に通じる。人生の第4楽章を謳歌する石坂は、切り拓いた一本道を足取り軽やかに歩んでいる。
●いしざか・こうじ/1941年6月20日、東京都出身。慶應義塾大学法学部卒業。大学在学中の1962年にドラマ『七人の刑事』でデビュー。大学卒業後、劇団四季に入団。1976年に『犬神家の一族』に金田一耕助役で主演、市川崑監督でシリーズ化され空前の大ヒット。市川崑監督作品には他にも、『細雪』『ビルマの竪琴』など多数出演。俳優業のほか、司会者、クイズ解答者、作家などマルチに活躍。多趣味なことでも知られる。2009年にNHK放送文化賞受賞。『開運!なんでも鑑定団 極上!お宝サロン』(BSジャパン)、ドラマ『やすらぎの郷』(テレビ朝日系)では主演を務めている。
取材・文■渡部美也/撮影■中庭愉生
※週刊ポスト2017年5月19日号