また、「時間をかけて情報を小出しにしながら関心を集め、期待感をふくらませる」という広告業界のプロモーション手法をドラマに採り入れているという側面も考えられます。

 たとえば、第1弾としてあらすじとメインキャストを発表したあと、第2弾でクランクインのレポート、第3弾でサブキャスト、第4弾で主演とプロデューサーのロングインタビュー、第5弾で大物ゲスト……。このように情報を小刻みに発表していくと、視聴者の関心を集め、期待感をふくらませるだけでなく、テレビ誌、スポーツ新聞、ネット媒体などを繰り返し賑わせることができます。

 同時に、早く発表した分、番宣のチャンスが増えるのも大きなメリット。メインキャストがバラエティー番組などに出演するたびに番宣のチャンスが生まれますし、『先に生まれただけの僕』のように放送開始までの期間が長いほど、その機会は多くなります。もちろん、あからさまに番宣を繰り返すと、視聴者に嫌われてしまうので注意しなければいけません。

 最後にもう1つ挙げておきたいのは、テレビ局内部の事情。早期の発表には、「自局で現在放送中のドラマに影響を与える」という意味もあると聞いています。

 たとえば、「日テレのドラマは面白いよね。何かやってくれそう」という全体のポジティブな印象づけ。あるいは、「視聴率が低迷しているから、景気のいい新番組の発表を流そう」というイメージのリカバー。さらに、「日テレの土曜22時は、春に亀梨和也さん、夏に錦戸亮さん、秋に櫻井翔さんなんだ」という流れの理解促進。「お互い負けないように頑張ってほしい」というスタッフやキャストへの激励などが考えられます。

◆すべてテレビ局とキャストの事情

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