5月場所15日間の総懸賞本数は2015年秋場所の1979本を抜いて過去最高の2219本になる見込みだ。そのうち稀勢の里への個人指定懸賞は608本を数える。新横綱として臨んだ春場所の300本から倍増した。
「個人指定の懸賞は本人が休場した場合、スポンサーの意向で別の一番に移すか、次の場所に回されるかが決まる。それが600本もあると聞けば、責任感の強い稀勢の里はいよいよ休めないと思うはずですよ」(担当記者)
集中する懸賞は、稀勢の里の5月場所をより厳しいものにした。一つの取組に掛けられる懸賞の上限の目安は50本だが、嘉風に敗れた初日の結びの一番では54本の懸賞が掛けられた。
「懸賞1本で手取りは3万円ですから、嘉風はこの白星だけで162万円の臨時収入を得た。たった一番で三役の月給(169万3000円)に近い実入りがある。上位のガチンコ力士たちは当然、目の色を変えてぶつかっていく。弱点を攻めることにも躊躇はない」(同前)
“稀勢の里に勝てば150万円(懸賞50本)”という状況が、強い向かい風になるのは当然である。
※週刊ポスト2017年6月2日号