先日、制作発表会見があり行ってきた。BGMは『越冬つばめ』。振袖の衣装で登場した森昌子は、「皆様、本日はお忙しいなか、お集まりいただきまして…誠にありがとうございます。今回は、50代…最後の年にこの、音楽喜劇…に挑戦させていただけるということで、ひじょうに、ワクワクして、胸が躍っております。演歌歌手、赤城麗子役の、森昌子でございます」と、演歌コンサートの名司会者ばりに自己紹介。
間のとり方、緩急や抑揚のつけ方が完璧だったうえ、歌手を目指して田舎から上京し、華々しくデビューするも、それから後にヒット曲が出ず悩んだり落ち込んだりするのだが、自分の歌に惚れこんで懸命に売り込むマネージャーと二人三脚で頑張って生きていく…という役どころの説明も完璧だったのである。「芯の強い女性です」と言って背筋を伸ばす彼女と赤城麗子が重なって見えた。
さらに「私は、本家のNHKの『のど自慢』には…、そうですねぇ数えきれないほど出演させていただいておりますので、なかなかテレビでは伝わらない本番の中の雰囲気ですとか…、皆さん、本気でお出になってらっしゃるんですね、あんなニコニコして登場されてますけど…。緊張感と空気感をこの舞台で面白く出せたらいいんじゃないかと思います」と“使いどころ”タップリなコメントも。
同舞台の出演者で、会見の司会を務めていた生島ヒロシが、「(物語の前段で)ヘタに歌うとか、そういうことはあるんですか?」と質問を投げかけたときには、「え? 私がですか?」と、なぜそんなことを聞くのかというリアクションをした森昌子。「初めからキチンと、もうバッチリやります。ガッチリやります」と言い切った。少女時代から天才と言われるほど歌がうまかった森昌子のプライドを垣間見た瞬間だった。
その後、記者から「カラオケの十八番は?」という質問が飛び、美空ひばりさんの『悲しき口笛』を完璧なものまねで披露した森昌子。
サービス精神旺盛なベテラン歌手、森昌子は、やっと本来のキャラクターや実力を自然なカタチで披露できるようになったのではないか。バラエティー番組やトーク番組のゲストとしても「数字をもっている」と評判。
「中3トリオ」「新御三家」の中で、郷ひろみと共に、いまもっとも引っ張りだこなのは森昌子。「大逆転」と言えるかもしれない。