気圧が上下することで、気温や湿度も変化する。これもまたさまざまな病態を引き起こすことになる。
「ゲリラ豪雨のように晴天から一転して大雨が降った時は、気圧が下がる一方、湿度が上がります。湿度が高いと発汗が抑えられることで血行不良が起き、関節痛やリウマチが悪化するケースが多いのです。とくにリウマチは“梅雨時が一番辛い”という患者さんが多いのですが、こうした理由からだと考えられています」(前出・渡邊氏)
京都大学リウマチセンターは2014年に大規模調査を行ない、「リウマチ患者の痛みや腫れは、気圧の低い時に起きやすい」という結果を発表している。気象予報士の資格を持つ、国家公務員共済組合連合会立川病院医長の福永篤志氏は、こんな話をする。
「脳神経外科医である私が気象予報士の資格を取ったのは、脳の病気と天気が密接に関係があると思ったからです。
夏になれば最高気温が35℃を超える猛暑日も来ます。こんな日は脱水により血液がドロドロとして、脳血栓が起こりやすくなります。暑い日が続いた後に急に気温が低い日が来ると、動脈硬化を患っている人は寒暖差によって血圧の調節機能が上手く働かず、脳の血管が切れたり血液の循環が悪くなって、くも膜下出血や脳梗塞を引き起こすケースも多数報告されています。
夏や秋に見られる1日の気温差が10℃以上、気圧差で10hPa以上の荒れた天気の日は要注意です」