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文在寅派の怨念 「朴槿恵に実刑を」と検察に強い圧力

手錠を繋がれて法廷に移送される朴被告(写真/アフロ)

 手錠は法廷に入るまで付けられていた。濃紺のスーツの胸元には、収容者番号を示す「503」の丸いバッジ。ノーメークの顔の頬はこけ、やつれた表情でぼんやりと前方を見つめる──。

 5月23日、収賄や公務上秘密漏洩などの罪に問われた韓国の前大統領、朴槿恵被告(65才)の初公判がソウル中央地裁で開かれた。韓国の大統領経験者が刑事事件の被告として出廷するのは全斗煥、盧泰愚に次いで3人目となる。

「3月末の逮捕以来約50日ぶりに公の場に姿を現した朴被告ですが、疲れていたのか、生気がまるで感じられなかった。大統領時代は専属の美容師が1時間以上かけてアップするヘアスタイルがトレードマークでしたが、この日は拘置所で購入したプラスチック製のヘアクリップを使って、簡単に髪形を整えるのみでした」(韓国の全国紙記者)

 公判冒頭、裁判官から職業を聞かれた朴被告は、消え入るような小声でこう言った。

「…無職です」

 公判中は椅子に腰かけたまま、時おり天井や傍聴席にうつろな視線を送り、弁護団から手渡された紙コップの水を何度も飲み干した。

 冒頭陳述で検察側が「朴被告は職権を乱用して個人的利益を追求した」と主張すると、弁護側は「すべて否認する。推論と想像に基づく起訴だ」と反論。意見を求められた朴被告も「弁護人の立場と同じです」と争う姿勢を見せた。

 この日の公判には、朴被告と共謀したとして追起訴された“親友”の崔順実被告(60才)も出廷した。弁護人を挟んで朴被告と並んで着席。公判中、崔被告は「40年間見守ってきた前大統領を法廷に立たせた私は罪人だ」「彼女は絶対に賄賂を受け取っていない」と涙ながらに朴被告を庇かばったが、当の彼女は表情を崩さず、一度も崔被告と目を合わせることはなかった。韓国政治に詳しい大阪市立大学大学院教授の朴一氏の話。

「新大統領の文在寅氏を支持する進歩派勢力が、“執行猶予ではなく必ず実刑判決を”と検察に強い圧力をかけています。彼らは朴槿恵政権時代に苦渋を舐めており、裁判にはその怨念が込められているのです。ただし、仮に実刑判決が出ても、元大統領ということで特別な恩赦が出て釈放される可能性もある。盧武鉉や全斗煥も実刑確定後に恩赦で拘留が解かれています」

 5月26日の第2回公判にも朴被告は初公判と同じ濃紺のスーツ姿で出廷した。この日の公判は弁護人が「裁判の手続きに問題がある」と異議を唱えるなどで紛糾。6時間にも及んだ公判の最中、朴被告はほとんど発言せず、あまりの長丁場に弁護団を通じて休廷を要求した一幕もあった。慣れない獄中生活で、彼女の心身は限界に達していた。

※女性セブン2017年6月15日号

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