警戒の目を走らせる北朝鮮乗組員


 その万景峰号も1992年に二代目となる「万景峰92号」が就役してからは、工作活動の一線から退いたが、このたびウラジオストクに現れた。北朝鮮北東部の羅先(ラソン)との間に開設されたばかりの定期航路に使われることになったのだ。

 運航するウラジオストクの運輸関連企業「インベスト・ストロイ・トレスト」のミハイル・フメル副社長はその経緯をこう説明する。

「昨年に北朝鮮側から羅先の海運大学の練習船となっていた万景峰号を活用できないかと相談を受けた。経済状態の良くない北朝鮮だけでなく、内陸で外港がない中国東北部の貨客を羅先経由でウラジオストクに運べば十分に利益が出ると判断して運航に踏み切った」

 練習船といっても、埠頭に停泊したまま放置されていたため、エンジンなどは使いものにならず外海での航行が出来ない状態だったという。「ロシアから技術者を派遣して修理にあたったが、必要な部品のうち国連の制裁の対象となるものは、細かく分解して持ち出した」とフメル氏は明かす。

 改修が済んだ船は、乗客の定員が193人。1500tの貨物を積載可能だ。料金は8人部屋で片道5000ルーブル(約1万円)。週に1度の運航で、今後は航路を元山(ウォンサン)まで延ばすことも検討中だという。

 北朝鮮からは家具や衣類、ロシアからは水産物などを運ぶことを想定しているというが、運航第一便には積載貨物は何もなく、乗客も中国吉林省から来た旅行会社の幹部ら7人だけだった。

 入国手続きを終え、ターミナルの外に出てきた中国人らに話を聞くと、この航路を使ったツアーを企画できないか検討するために乗り込んだと説明する。

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