前述したように今の週休3日制は、週40時間の労働時間を4日に固めただけで、完全週休3日制ではない。その結果、1日の拘束時間は11時間(休憩1時間)になる。現在の日本の労働実態からすれば残業なしではすまされない。それこそ休みを1日増やしたことでやるべき仕事を片付けるために、毎日深夜近くまで働かざるをえなくなるかもしれない。
下手をすれば、終わらない仕事のために今と同じように休日労働する人も出てくるだろう。今と仕事量が変わらないのに、後顧の憂いなしに3日の休日を満喫できる会社や社員はどれだけあるだろうか。
本来の完全週休3日にしようとすれば1日8時間×4日にして、従来と同じ給与を払うべきだろう。つまり、1週間の会社の所定労働時間を32時間にすれば可能だ。これはフランスの週35時間の法定労働時間に近い。
週8時間も労働時間を減らす経営者は少ないかもしれないが、企業の中には実現可能な企業もある。たとえば日本生命、東京海上日動をはじめとする生・損保会社では1日の所定労働時間が7時間という会社が多い。1週間の所定労働時間は35時間とフランスと同じだ。
だが、どの会社も週休3日に踏み込むことはできないだろう。社員を1日休ませることによるビジネス上の損失が大きいからだ。また、残業を前提としている職場風土の問題もある。ちなみに電通も1日の所定労働時間は7時間だ。にもかかわらず長時間労働体質が世間から指弾された。
結局、この国の商習慣・業界慣行や長時間労働体質を変えていかない限り、完全週休3日制は夢のまた夢なのである。