元号の歴史は645年(646年説もある)に制定された「大化」まで遡る。元号に詳しい東京大学特任助教(歴史社会学)の鈴木洋仁氏が解説する。
「古来、元号は天皇の権威や権力を示す象徴でした。新しい天皇が即位したときだけではなく、権威が失墜しそうな際にも改められた。南北朝時代の後醍醐天皇は、飢饉や災害に悩まされ、在位中に8度も改元しました」
「大化」から「平成」に至る1344年の歴史の中で247の元号が制定された。その中で唯一の例外が現在の「平成」の制定手続きだった。
「昭和までの元号は、新しく即位した天皇か、在位している天皇が決めており、明治時代には『登極令』(*注)に、天皇が元号を定めると明記されていた。しかし、大日本帝国憲法とともに登極令が廃止され、戦後は『民主主義に則れば、元号は国民の代表が決めるべき』との声が高まった。そのため、1979年制定の『元号法』では〈元号は、政令で定める〉となった」(鈴木氏)
【*注:大日本帝国憲法期に定められていた法律で、「登極」とは即位のこと】
平成は同法に基づき、政府が決めた。今回もそれに倣い、政府主導で制定が進められているのである。
※週刊ポスト2017年6月30日号