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佐藤優氏「田中角栄は永遠に生きたかったんじゃないか」

1972年、自民党総裁に選出され万歳 共同通信社

 歴史認識を巡って近隣諸国との諍いが絶えない。だが、それは今日に始まったことではない。昭和天皇の崩御を契機に、戦後日本の宿題が顕在化し始めた。同時期、国内政治では、五五年体制の終焉という大きな節目を迎えている。田中角栄氏が亡くなり、五五年体制が終焉した平成4~5年について、作家・佐藤優氏と慶應義塾大学法学部教授の片山杜秀氏が語り合う。

片山:ソ連の崩壊から30年が過ぎようとしているいま、そうした前提を知らない世代が誕生した。たとえば日本の大学ではソ連崩壊を境に、教授たちはマルクス主義の看板を下ろしてしまった。日本の敗戦後に教科書が墨塗りになったのと似ていました。ソ連崩壊時の大学生はいまや50歳。あそこで歴史が切断されて脈絡が飛んでしまったような気がします。

佐藤:そう考えると平成という時代は、時系列の単純な積み重ねで成り立っているのではなく、いわば、ぐちゃぐちゃの雑炊のようなものと考えた方がいいかもしれない。

片山:なるほど。ポストモダンは80年代の流行語でしたが、真のポストモダンは平成に訪れたのかもしれませんね。いろんなブームが時代を超越して筋道抜きで登場する。最近の田中角栄ブームもそうです。田中角栄を参考にしても今の日本がよくなるはずがない。

佐藤:この状況で田中角栄の真似をしたらめちゃくちゃになるでしょうね。田中角栄は「今太閤」というイメージで語られますが、俗人的な要素が過大評価されている。

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