〈ジャイアンツは読売新聞の広告塔に過ぎないんじゃないですか。初めてそう思ったのは、僕が日本にいた最後の年です。ジャイアンツのユニホームは、ホーム用はジャイアンツ、ビジター用は東京です。伝統あるユニホームですよ。最後の年、それが読売になった。あれはがっかりしましたね。六十何年という日本で最も歴史のあるチームなわけでしょ。そのユニホームを変えちゃうということには、すごいショックを受けました〉
思えば、松井氏がルーキーイヤーだった年のオフからFA制が導入され、巨人は他球団から選手を“強奪”するようになった。2000年代後半、育成選手枠から這い上がった山口鉄也や松本哲也が新人王となり、生え抜きが育つ環境が出来上がったかに思えたが、昨年オフには史上初となる3人ものFA選手を獲得。今季も、若手が育つ気配はまだ見えない。前出・野球担当記者が語る。
「読売本社の姿勢がいちばんのネックなのは間違いないが、球団の方針と松井氏の考え方が合うようにも思えない。巨人からすれば是が非でも監督になってほしいのでしょうが、松井氏はこれ以上都合のいいように使われたくないと考えているでしょう。ましてや、望んでもいないのに、野球賭博の悪いイメージを消す意味合いも含め、読売の都合で監督になった高橋監督が苦労しているのを目の当たりにしている今、敢えて巨人のために尽くすという気持ちにはならないのではないでしょうか」