「今年1月、共同通信記事に対する中国側の怒りを岸田外相に報告した。それを受けて大臣は、中国国内の在留邦人に向けて注意情報を出すように指示したが、実際に伝達されたのは公安当局の関係部署までで、一般の在留邦人には情報が届かなかったようだ」(外務省関係者)
この間、国産空母の写真はネット上で拡散し続け、中国側はますます態度を硬化――ついに3月の邦人拘束に至ったと考えられる。外務省に、一連の日中の報道合戦による影響や拘束された6人の状況などを訊ねると、こう回答した。
「報道については承知しているが、日中の外交ルートでは様々なやり取りが行なわれている。その一々について申し上げることは差し控える。(6人は)邦人保護の観点から適切に支援している」(報道課)
前出の富坂氏が言う。
「米国と肩を並べる最新鋭空母は建造できなくても、国産空母が就役するだけで周辺のアジア諸国に威圧と牽制を加えることができる。今後、中国が海洋進出を進めるなかで日本をはじめ周辺国との摩擦が増える可能性は高い」
メンツを潰されただけで民間人を拘束する。短気な隣人との付き合い方は相変わらず難しい。
※週刊ポスト2017年7月7日号