「霞が関の中央省庁には揺るぎがたいヒエラルキーが存在します。トップに君臨するのは財務省。以下、経産省、総務省、厚労省が省庁ピラミッドの上位に位置する『第1グループ』です」

 上杉氏によれば、第2グループには農水省、国交省、防衛省、警察庁、法務省が入り、前川氏の文科省は環境省と並ぶ最下層グループになるという。

 専門職試験があり、最近まで採用が別枠だった外務省は枠外に位置づけられる。このヒエラルキーを決定するのは、「許認可権限の強さと強制力」にあると上杉氏が続ける。

「財務省には予算編成権があり、財布を握られる各省庁や地方自治体は彼らに到底逆らえません。経産省や総務省も幅広い許認可権限を持っている。一方で文科省や環境省の許認可権は非常に限定的なんです」

 文科省の持つ許認可権は、学校法人の設置をはじめとする教育関係に限られる。国の金を動かす財務省に比べると、持ち得る権限の差は歴然。

「所詮は三流省庁」。“第1グループ”のキャリア官僚の中には、そう言って文科省の人間を卑下する人間も多いという。

 入省したキャリアを待つのは熾烈な出世争いだ。各省庁で同期入省のキャリアは30人ほど。どの省庁も役職は同じで、係長、課長補佐、課長、審議官、局長、官房長、事務次官という階段を1つずつ上っていく。

 省庁によって多少の違いはあるが、キャリアはおおむね地方と中央の勤務を繰り返しながら30才前後で中央の係長、30代後半で課長補佐、40代で課長になる。

 ピラミッド型の官僚組織は上に行くほどポストが少なくなるが、頂点にそびえ立つのが前川氏も経験した事務次官である。

 一般企業でいえば、事務次官は社長にあたる。その省の全てを統括するトップゆえ、事務次官になれるのは、エリートぞろいの同期のうちたった1人。キャリアは1つしかないこのイスを目指して出世競争にひた走る。

 ちなみに『嵐』の櫻井翔(35才)の父親は、2015年7月から総務省の事務次官を務めた超エリートである。前出・上杉氏は、激しい出世争いをするのは彼らの“本能”だと指摘する。

「キャリアで入省する官僚たちは人生でずっと1位を取ってきた人ばかり。トップ以外が見えないんですね。入省した時点で事務次官に向けて人生を設定してしまうんです」

 無論、出世レースを問わず仕事は激務を極める。元財務省キャリア官僚の山口真由さん(33才)が振り返る。

「20人ほどいた財務省の同期に女性は2人だけ。性別での差別はないし、先輩はみな面倒見のいいかたがたで、人間関係的には救われました。でも、とにかく忙しくて…。国会開会中は宿舎に帰れず、省内の仮眠室に泊まることはしょっちゅう。忙しくてお風呂にも入れず、財務省の水道の蛇口をひねって頭を洗っていました。ウエットティッシュで体を拭くだけという男性職員もいましたね」

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