ところが、その予想に反する研究結果が先月、発表された。国立がん研究センターと国立国際医療研究センターによる共同研究だ。大阪や沖縄など9府県の40~69歳の男女約8万人を対象に、「食事パターンと死亡リスク」について15年間追跡調査した。
その結果、健康に悪いと考えられがちな欧米型の食事でも、死亡リスクが下がる傾向が見られた。これほど大規模な調査でこんな結果が出たのは、国内で初めてだ。
この研究では、日本人の食事の内容を、「健康型」=A、「欧米型」=B、「伝統型」=Cの3つに分けた。
健康型の食事の傾向が高い人たちは、心臓病の死亡リスクが25%低いという結果が出たが、欧米型の食事の傾向が高い人も12%低くなっていた。
脳血管疾患による死亡リスクも、健康型の食事の傾向が高い人たちは37%低く、欧米型の食事の傾向が高い人たちも12%下がっていた。伝統型の食事パターンでは死亡リスクを下げていないことがわかった。
健康型の食事の結果は予想どおりとしても、なぜ、欧米型の食事が、伝統型よりいいのだろうか。その理由の一つは、栄養の内容だ。欧米型の食事はタンパク質が豊富なのである。
成人男性の場合、タンパク質は一日60g必要とされる。これをヒレ肉だけで摂ろうとすると300gも食べなければならない。毎日300gの肉を食べるなんて、日本人には難しい。肉だけではなく、卵や牛乳、魚、納豆、豆腐などから、良質なタンパク質を摂るようにしたい。