医療業界は、治療の前の予防医学にも重きを置きつつある。その隆盛が高級人間ドックの登場にも現れていると言えるだろう。高い費用を払える人だけが入会を許される。医療界における“一見さんお断り”のような世界。今後、拡大の一途を辿るとはいえ、その高額なサービスを享受できるのは、富に余裕のある人たちに限られているのが現状だ。医療ジャーナリストの田辺功氏はいう。
「お金持ちとそうでない人とで医療格差が広がる現象は、もうすでにさまざまなところで進んでいます。人間ドックでもお金を出すほどオプションの検査を増やせるわけで、不妊治療だってお金がある人ほど回数を多くできるのですから。高級会員制人間ドックは“金で命を買う”という医療の大きな流れのひとつであるとはいえるでしょう」
※SAPIO2017年8月号