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2017.07.10 07:00  女性セブン

小笠原文雄×上野千鶴子 がん告知や究極の孤独死を語る

◆「ムンテラ」が上手な医師

上野:嘘は言いたくないとか、患者さんと信頼関係を作りたいというのは、小笠原さんの信念ですか?

小笠原:どうでしょう。循環器だったら、心臓が止まった人を生き返らせ、歩いて退院させることもできる。「やったー」って喜べると思ったんですよね。

上野:開業して、在宅ホスピスや緩和ケアをすると、がん患者が山のようにいらっしゃるでしょう。

小笠原:だから開業してからですよ。がん患者と本当の意味で向き合えるようになったのは。時間もたっぷりあったので、告知後のフォローも時間をかけて丁寧にやれますからね。

上野:じゃあ、ご自分がかつて言ったことに、今、ご自分で責任を取られているわけだ。

小笠原:そう、そう。上司に「告知はやめとけ」と言われたのが、ずっと心に引っかかっていたので。

上野:その話は今回初めて聞きました、ご立派ですね。

小笠原:ぼくは、嘘だけは言うまいと心に誓ってます。患者さんが何も知らされず、誰とも信頼関係がもてないまま死んでいくなんて、これこそ究極の孤独死ですからね。

上野:小笠原さんのムンテラ(ムントテラピー。ドイツ語で口先療法のこと)のうまさは、余人に真似ができないと思っています。患者さんに「私、死ぬんですか?」と聞かれて、「あんたがそう思うんやったら、そうやろな」と言ったり。それはやはり、小笠原さんがお寺の生まれで、9才のときに得度し、法話をたくさんやってこられたからなのかなと思っているんですが。

小笠原:ぼくは僧侶なので法事や葬式にも伺うんだけど、最近まで法話ってやったことがなかったんです。

上野:やっと最近? それじゃ講演で磨いた芸で?

小笠原:講演での経験と、上野さんにしごかれた芸で(笑い)。

上野:先生のムンテラのうまさは、「人は死に時を選ぶんや。好きな人が来る時まで待ってるんだ」とおっしゃるかと思えば、別の時は「好きな人が休まないと死ねないんや」とおっしゃったりする、その臨機応変さ。状況に合わせて、「ほんまにうまいこと言わはるなぁ」と、ほとほと感心しているんです(笑い)。

小笠原:長年、人を看取っていると、どちらもあるんですよ、本当に。実感として、ぼくが感じているままの言葉を話しているだけで、頭で考えたものじゃないんです。

撮影/杉原照夫

※小笠原文雄先生が7月17日、「なんとめでたいご臨終の迎え方」をテーマに、東京・小学館で講演会を開催。
詳細はhttps://sho-cul.comへ。

※女性セブン2017年7月20日号

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