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2017.07.28 07:00  SAPIO

台湾独立に賭けた男たちの熱き生き様

「そのときの蒋経国の顔はね、一生忘れられない。なんとも言えない苦々しい顔だった。でも私を見送るときも深々と頭を下げて、最後まで礼を失わなかったのはさすがだと思いました」

 蒋経国から一本取ったグー・クワンミンだったが、帰国してその件を仲間に打ち明けると、徹底的に糾弾され、連盟を除名となった。

◆今も密使と面会を重ねる

「グー・クワンミンには、夢見がちというか、理想主義者的なところがあった。蒋経国に会えば何かが変わると本当に思っていたんだろう」

 独立運動に初期から関わった唯一の日本人で、いまも連盟日本支部の理事を務める宗像隆幸は、苦笑いを浮かべつつ振り返った。

 グー・クワンミンの父は日本統治時代に一代で財閥を築き上げた辜顯榮(グー・シェンロン)だ。日本の貴族院議員まで務めた成功者だが、日本軍や台湾総督府と密接につながったことで「漢奸(売国奴)」の汚名も浴びせられた。

 グー・クワンミンの腹違いの兄・辜振甫(グー・ジェンフー)も日本の敗戦後、台湾駐留の日本軍と共謀して独立を企てた疑いで国民政府に逮捕されている。釈放後は辜家の力を借りたい蒋介石が和解に応じ、その後は台湾最大の金融グループ中国信託金融グループを擁する辜家財閥を再興した。台湾財界を率い、1990年代には李登輝の意を受けて中台対話の窓口という大役を務める。

 反政府に立つかと思えば、権力の懐にも飛び込む一族。

 辜家の歴史を研究する台湾師範大学の呉文星(ウー・ウェンシン)名誉教授は「機を見るに敏で、リスクも恐れない山っ気のある政商の血が辜家の人々には流れている」と指摘する。その血が、グー・クワンミンを蒋経国との対話に応じさせたのだった。

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