小泉にさえ、演説中に激しいヤジが飛ぶことはある。そんなとき彼は「批判も受け止めながら、政治を前に進めたい」と応じる。意見の合わない議員や記者とやり合った後には、陰でフォローすることも忘れない。
「徹底的に攻め込んでも、逃げ道を作ってやれと言うじゃないですか。僕は国会で厳しく追及しても、絶対に個人の批判はしない。戦い方、戦うタイミング、そして深さ。それを見極めないと、最初の勢いはいいけど、気が付いたら後ろに味方が誰もいない状況になる」
(敬称略)
●とこい・けんいち/1979年、茨城県笠間市生まれ。ネット企業、出版社勤務を経て、2017年、「小泉純一郎独白録」(月刊文藝春秋)で第23回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞受賞。著書に『保守の肖像 自民党総裁六十年史』『誰も書かなかった自民党 総理の登竜門「青年局」の研究』など。
※SAPIO2017年9月号