◆恐竜の住む森へ
30度を超える夏の新宿。それなのにあたり一面は雪。白銀の世界が広がっている。吐く息が白く漂っていることに驚く。仮想現実の急斜面をスキーで一気に滑り降りるとお尻がムズムズ、ぞわぞわ。
続けて恐竜の棲む森へ。背後から突然襲われるのではないか、とビクビク、ドキドキ。 人力飛行機に乗って山肌ギリギリを低空飛行したり、空中散歩したり架空の世界でやりたい放題。私が体を動かすと、それに連動して映像も動いていく。景色がめくるめく変わっていく。だからリアル。五感を刺激する仕掛けも生々しい。
「いかに臨場感、没入感を持続させるか試行錯誤を重ねてきました。白い息が漂う仕掛けはプレイヤーの呼吸をセンサーで逐次、察知して映像化しています」とプロジェクトチーム Project i Canのタミヤ室長こと田宮幸春氏(44)は言う。
「私たちが提供したいのは、既存のゲームでもアトラクションでもなくて、『VRアクティビティ』という新しいジャンル。市場を開拓する決意で取り組んでいます」
「VR ZONE SHINJUKU」の出発点は昨年4月に遡る。東京お台場に半年間の限定で開設した「VR ZONE SHINJUKU Project i Can」はまさに実験場だったとか。
「本当にVRで人を呼べるのか。お客様はどんな反応をしてくれるのか。手探りで検証していく研究現場でした」