星野さんは『プラージュ』の1話で、「ふとしたきっかけで薬物を使ってしまい、警察に手錠をかけられたほか、自慰行為の最中に火事で家を失う“前科者”の男性」を演じました。
本人は「自分が演じる登場人物史上、最もだらしなくてダメな人」と笑っていましたが、裏を返せば、自主規制が進む民放連ドラでは難しい映像表現に挑んでいるのです。「『平匡さん』とは正反対の男性にイメチェンできる」ということも、「なぜ『逃げ恥』の次に有料放送のWOWOWを選んだのか」という理由ではないでしょうか。
星野さんは最近のインタビューで何度となく、「今が楽しいので、特にやりたいことはない」と語っていますが、その一方で「自信がないのに、やりたいことが止められない」という少年時代からの性格は変わっていません。また、『逃げ恥』以前から「底抜けに明るいクレイジーキャッツに憧れている」と公言しているだけに、今後も「ヒットなんてどこ吹く風」「脱力感とマイペースさこそ星野源」という姿を見せてくれるでしょう。
くも膜下出血に関わる2度の手術と療養生活を経験したことから体調への心配は尽きませんが、コンスタントに私たちを楽しませてくれることに疑いの余地はありません。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本前後のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。