国内

明治維新の廃仏毀釈「イスラム国的な文化破壊活動」評も

昭和初期まで二・二六事件などのテロが多発した 共同通信社

 明治維新が素晴らしいものであるとの“常識”に疑義を呈したのは『明治維新という過ち』の著者で作家の原田伊織氏だ。氏は明治維新がその後の軍部の台頭を招き、また「官軍史観」が現代社会を歪めていると指摘する。

 * * *
 明治維新と呼ばれている政変によって、日本が背負った「負の遺産」は少なくない。千年以上にわたって「神仏習合」という形で維持してきた穏やかな宗教秩序や多元主義的な生態を、「復古」を狂信的に唱える薩長新興勢力が「廃仏毀釈」というイスラム国のようなやり方で徹底的に破壊した。世界史にもあまり例をみない恥ずべき文化破壊活動である。

 また江戸日本は300諸侯がそれぞれ独自に地域社会を治める連合国家でもあり、独自の自然観に基づく、現代からみれば驚くべき先進的な持続可能な社会システムを構築していた。しかし西欧文明にかぶれた薩長によって一元化した中央集権体制が強いられ、日本的な多元主義や寛容かつ平穏な精神文化が否定されてしまった。

 一元主義、不寛容の象徴が靖國神社だ。これは、江戸幕府を滅ぼした長州側が、「官軍」の戦死者だけを祀るために作ったもので、正義の基準を官に置いて“官にあらざれば賊である”と独善的な考えのもとに誕生した。つまり靖國神社は、自らのみを「正義」としてそれに対する崇拝を強制するという意味で極めて「非日本的」な神社と言える。

 現在、保守派の政治家から西郷隆盛ら「賊軍」を合祀せよとの声があがっているが、その貧弱な歴史観はこっけいにしか映らない。今でも長州賛美主義者が堂々と公言している通り、靖國神社はどこまでいっても「長州神社」であることを忘れてはいけない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
悠仁さまの「加冠の儀」に出席された雅子さま(時事通信フォト)
《輝きを放つシルク》雅子さま、私的な夕食会で披露した“全身ゴールド” ファッション専門家「秋を表現された素晴らしい一着」
NEWSポストセブン
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
クイズ企画が人気を集めている『新しいカギ』の特番が放送される(公式HPより)
《1コーナーから2時間特番に》『新しいカギ』「高校生クイズ何問目?」が高校生から高い支持 「純粋にクイズを楽しめる」「負けても納得感」で『高校生クイズ』との違いも 
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
「パー子さんがいきなりドアをドンドンと…」“命からがら逃げてきた”林家ペー&パー子夫妻の隣人が明かす“緊迫の火災現場”「パー子さんはペーさんと救急車で運ばれた」
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
韓国アイドルグループ・aespaのメンバー、WINTERのボディーガードが話題に(時事通信フォト)
《NYファッションショーが騒然》aespa・ウィンターの後ろにピッタリ…ボディーガードと誤解された“ハリウッド俳優風のオトコ”の「正体」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン