培養した免疫細胞がどの程度の期間、機能しているのか。それを科学的に調べた研究者が理化学研究所・特別顧問の谷口克氏だ。
「培養した免疫細胞の生体内寿命は2~3日、長くて1週間。ただし、がん細胞に出会って刺激を受けると、24時間以内に死滅します。また培養免疫細胞を静脈投与した場合、肝臓に集積し、がん組織に届きません」
国立がん研究センター・前理事長の堀田知光氏は、筆者のインタビューに応じ、民間の免疫療法を厳しく批判した。
「正直に申し上げると、胡散臭いという印象。結果が良いというけれど、科学的な根拠を示していない。
有効性と安全性が検証されていない、再現性もない免疫療法が“商売”として行われているのは問題ですよ。私は今の“古典的免疫療法”に大きな期待はしていません」
説明会に参加する患者や家族には聞かされない、これが本当の専門家の見地だ。
※週刊ポスト2017年9月8日号