ちなみに寄附講座は企業や団体によって経費が賄われる講座。その特任教授とは、民間企業などの資金で確保されるポストともいえる。調べてみると、特任教授は医師免許を持たない歯科医だった──。
“早期発見すれば、がんは治る時代”といわれるが、今も日本人の死亡率1位。罹患率は5割だから、誰もが直面しうる病気だ。最も進行したステージ4では、抗がん剤治療が中心となるが、強い副作用や耐性が出て効かなくなってしまうことも多い。
追いこまれた患者の選択肢として浮上するのが、『免疫療法』だ。手術、放射線、抗がん剤の3大療法に次ぐ“第4のがん治療”ともいわれている。『活性化リンパ球』『樹状細胞』『ペプチド』『がんワクチン』など、従来からある、“免疫細胞療法”(=以下、免疫療法)は、自由診療のみ。そのため多額の治療費がかかる。
免疫療法の基本的な手順は、まず患者の血液を採取する。そこからリンパ球の細胞を培養し、増やしたり、活性化させる。または、がん細胞の目印を覚えさせる。これらを一定間隔で患者の体内に戻して、がん細胞を殺すという。
なぜ、免疫療法は保険適用にならないのか? 免疫クリニックに疑問を投げかけると──。
「国民皆保険制度ができた1961年当時、まだ免疫療法が無かったので、審査対象にならなかった」
この説明は明らかにおかしい。臨床試験で有効性が立証された新しい治療法や新薬は、随時保険適用になっている。免疫療法が保険適用にならない理由──それは有効性が立証できていないことに尽きるのだ。