「治療の前に、だいたいいくらぐらいになります、と説明していたにもかかわらず、いざ支払いになると“そんなにかかるとは思っていなかった”とゴネる。今は持ち合わせがないから明日持ってきますと言ったまま、音沙汰がない。このケースが年に20件はあります。だいたい2万~4万円くらいなのですが、中には20万円以上を踏み倒している人もいる」(都内で開業する獣医師・Bさん)
さらに悪質な例もある。
「未払いがあることを承知で、“ちょっと診てよ”と患畜を連れてくるんです。動物に罪はないので診るようにしていますが、その治療費もやはり払ってくれない」(同前)
別の獣医師Cさんは、顔をしかめて次のようなエピソードを明かす。
数日前から後ろ足を引きずるようになったというトイプードル(2才・オス)を連れて若い女性飼い主が来院。診察の結果、右後ろ足の腱が断裂していることが判明。すぐに手術が必要なことを伝え、毛剃しようとすると、
「えー、毛を剃っちゃうんですか!? かわいくなくなっちゃうからいいです」
と連れ帰り、二度と来院することはなかった。
「ひどいケースになると、愛着がなくなったからと安楽死を依頼してくる飼い主もいます。さすがに“ここは命を助ける病院であって命を奪う場所ではありません”と追い返しますが、けがをしたペットを入院させたまま引き取りに来ない飼い主はざらにいます。問診票にある連絡先に電話をしても“現在使われておりません”のアナウンス。完全に確信犯ですよ」(Cさん)
※女性セブン2017年9月21日号