さらに母親のアスリート経験は、子供の栄養管理にも影響を及ぼす。清宮家では幼い頃からジャンクフードを食べさせることは絶対になく、炭酸飲料も飲ませなかった。清宮も早実では必ず母親の手作り弁当を食べ、外食する機会があっても、両親の意向を汲んだ料理メニューを提供してくれる飲食店にしか足を運ばないという。
そんな英才教育を息子に施してきた幸世さんは、予選ラウンドの最終日に到着する重役観戦。報道陣も“主役”の登場にざわついた。
プレイボールの直前、観客席に座った母を見つけた清宮は、「おう!」というように左手を挙げた。普通、年頃の高校生は、応援熱心な母親の存在を煙たがるものではないだろうか。人目を憚らず母親に挨拶する18歳の姿は、スカウトの間で話題になっていた。
予選ラウンドでなかなか安打が出ず、「絶不調。ワケがわからなくなっている」と打ち明けていた清宮は、母が到着したこの日、高校通算本塁打記録をさらに伸ばす110本目の本塁打を放って声援に応えた。
2年前の兄・寛士に続き、サムライジャパン入りしたのが、中京大中京の外野手・伊藤康祐だ。母のしほさんは、夫と共に兄弟が幼少の頃から練習に付き添ってきた。
「私が高校までソフトボールをやっていたので、男の子が生まれたらキャッチボールをしたいなってずっと考えていました。母親も一緒に“動ける”ということが、ふたりとも甲子園球児に育ってくれた一因かもしれませんね」
兄は法政大学に進んだが、「大学には進学したくない」と話しているという弟は、プロ志望届の提出が濃厚である。
※週刊ポスト2017年9月22日号