ライフ

81歳の巨匠・横尾忠則氏「絵も人生も大事なのはプロセス」

東京・世田谷のアトリエにて(撮影/佐藤俊和)

「最近は週刊誌が愛読書です。どの記事も因果応報、自業自得で仏教書として面白い。そうそう、『週刊ポスト』の健康ネタもスクラップしてありますよ」

 美術家・横尾忠則。1960年代から世界を舞台に活動を続け、81歳になった今も、朝から夕方までキャンバスに向かう。横尾の鮮やかな色使いと独特の感性は世界中で評価されているが、絵を描き始めた当初は「デッサンがなっていない」「色彩がおかしい」と酷評されたこともあった。横尾は「今振り返るとその通りだよ」と笑う。

「絵の評価は人が決めるものだと思っています。人の数だけ違う意見が出て当然ですよ」

 二・二六事件が起き、日本が戦争に向かう1936年、横尾は兵庫県の田舎町である西脇町(現・西脇市)に生まれた。幼少の頃から絵がずば抜けて上手く、5歳にして絵本『宮本武蔵』の《巌流島の決闘》を完璧に模写した。高校に入ると西脇市が主催するポスターコンクールに見事入選。美術教師の勧めで始めた油絵も、県主催の絵画展に相次いで入選した。しかし横尾は、「絵を仕事にするとは夢にも思わず、郵便局に勤めながら絵を描こうと思っていた」と当時を振り返る。

 高校卒業後はグラフィックデザイナーとして神戸新聞社に入社し、デザインの仕事に没頭する。やがて画廊で個展を開くようになった横尾は、絵を気に入った文豪・三島由紀夫に飾っていた絵を贈る。これを機に2人の距離は縮まり、三島の本の装丁を手掛けるようになって仕事も増え、次第に認められるようになった。

 その後、横尾は24歳で上京し、映画や芝居のグラフィックデザインを担当。アングラ劇場などの斬新なポスターを次々に手掛けていく。

関連キーワード

関連記事

トピックス

中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
高校時代にレイプ被害で自主退学に追い込まれ…過去の交際男性から「顔は好きじゃない」中核派“謎の美女”が明かす人生の転換点
NEWSポストセブン
スカイツリーが見える猿江恩賜公園は1932年開園。花見の名所として知られ、犬の散歩やウォーキングに訪れる周辺住民も多い(写真提供/イメージマート)
《中国の一部では夏の味覚の高級食材》夜の公園で遭遇したセミの幼虫を大量採取する人たち 条例違反だと伝えると「日本語わからない」「ここは公園、みんなの物」
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《死刑執行》座間9人殺害の白石死刑囚が語っていた「殺害せずに解放した女性」のこと 判断基準にしていたのは「金を得るための恐怖のフローチャート」
NEWSポストセブン
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《小室圭さんの赤ちゃん片手抱っこが話題》眞子さんとの第1子は“生後3か月未満”か 生育環境で身についたイクメンの極意「できるほうがやればいい」
NEWSポストセブン
『国宝』に出演する横浜流星(左)と吉沢亮
大ヒット映画『国宝』、劇中の濃密な描写は実在する? 隠し子、名跡継承、借金…もっと面白く楽しむための歌舞伎“元ネタ”事件簿
週刊ポスト
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
【独占インタビュー】お嬢様学校出身、同性愛、整形400万円…過激デモに出没する中核派“謎の美女”ニノミヤさん(21)が明かす半生「若い女性を虐げる社会を変えるには政治しかない」
NEWSポストセブン
山本アナ
「一石を投じたな…」参政党の“日本人ファースト”に対するTBS・山本恵里伽アナの発言はなぜ炎上したのか【フィフィ氏が指摘】
NEWSポストセブン
今年の夏ドラマは嵐のメンバーの主演作が揃っている
《嵐の夏がやってきた!》相葉雅紀、櫻井翔、松本潤の主演ドラマがスタート ラストスパートと言わんばかりに精力的に活動する嵐のメンバーたち、後輩との絡みも積極的に
女性セブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン