稀勢の里、高安はその代表格であり、「碧山や宇良も平幕の実力派ガチンコ勢。目の肥えたファンはそれがわかっているから、声援も一際大きい」(協会関係者)のである。
ただ、全力でぶつかるぶん、常にケガのリスクに晒される。かつて角界の八百長相撲を告発した元小結の板井圭介氏はこういう。
「土俵際でも最後まで絶対に力を抜かないガチンコ相撲は、見ている方にとってはもちろん面白い。ただ、やっているほうは常にケガと隣り合わせになる」
人気力士から順に負傷休場しているのは必然という見方である。また、ガチンコ勢にケガが集中する状況を「永谷園の呪い」と呼ぶ関係者もいる。2日目の高安―玉鷲(小結)戦も、宇良―貴景勝(前頭5)戦も、永谷園の懸賞が2本かけられていたからだ。
「懸賞は勝った力士にとっては手取り3万円の収入になる。永谷園はCM起用した力士や人気力士の取組に複数本の懸賞をかけるので、相手が目の色を変えて向かってくる。かつてCMに出演していた高見盛(元小結、現・振分親方)や出演中の遠藤(前頭14)は懸賞金目当ての他の力士の標的になり、ケガに苦しんできた。
永谷園は熱心な相撲ファンが応援する力士には下位でも懸賞を出すので、今は、それが必然的に実力派のガチンコ平幕に集中していく。激しい相撲になるから、ケガが多くなるわけです」(前出の協会関係者)
※週刊ポスト2017年9月29日号