スポーツ

やくみつる氏が「ベストバウト」と語る大相撲の名勝負とは

2014年初場所の高安対里山戦(写真:共同通信社)

 相撲好きな人ならば、誰しも必ず「忘れられない一番」があるはず。大の相撲ファンとして知られる漫画家のやくみつる氏が選ぶ「心に残る一番」は、2014年初場所千秋楽の高安対里山戦だ。やく氏が振り返る。

 * * *
 迷うことなくこの一番が私のベストバウトですね。実はそれまでは1971年の九州場所、血染めの三重ノ海対黒姫山戦がベストでしたが、40年以上経って塗り替えられました。

 里山は奄美大島出身の地味な力士ですが、これは彼の相撲人生のすべてがかかった重い一番でした。日大相撲部出身力士として初土俵から3年目で関取になったものの、その後は首を痛めたり靭帯を損傷したりして幕下まで転落。しかしこの場所は、28場所の和歌乃山を抜いて37場所という昭和以降最長ブランクで幕内に返り咲いていました。

 12日目に栃乃若を相手に「一本背負い」という大技を決め、相撲ファンからはその後の土俵が注目されていました。そして7勝7敗で迎えた千秋楽、勝てば初の幕内での勝ち越しと技能賞がかかる大一番となったのです。

 幕下転落中に何度も我が家へ遊びに来ていたので、その苦しい胸中を知っていた私も平常心では見られませんでした。本人曰く、「初めて神様にお祈りして」迎えた千秋楽は今をときめく高安との一番となりました。

 2分を超える大相撲の末、里山が高安を引き落とす。軍配は里山に上がった。勝った瞬間、里山が「ヤッター」と言ったのがわかりました。ところが土俵下の審判の大鳴戸親方(元大関・出島)から物言いがついて、里山が高安の髷をつかんだとして反則負けとなってしまった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

元交際相手の白井秀征容疑者(本人SNS)のストーカーに悩まされていた岡崎彩咲陽さん(親族提供)
《川崎・ストーカー殺人》「悔しくて寝られない夜が何度も…」岡崎彩咲陽さんの兄弟が被告の厳罰求める“追悼ライブ”に500人が集結、兄は「俺の自慢の妹だな!愛してる」と涙
NEWSポストセブン
グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカル
【ニコラス・ケイジと共演も】「目標は二階堂ふみ、沢尻エリカ」グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカルの「すべてをさらけ出す覚悟」
週刊ポスト
阪神・藤川球児監督と、ヘッドコーチに就任した和田豊・元監督(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督 和田豊・元監督が「18歳年上のヘッドコーチ」就任の思惑と不安 几帳面さ、忠実さに評価の声も「何かあった時に責任を取る身代わりでは」の指摘も
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン
赤穂市民病院が公式に「医療過誤」だと認めている手術は一件のみ(写真/イメージマート)
「階段に突き落とされた」「試験の邪魔をされた」 漫画『脳外科医 竹田くん』のモデルになった赤穂市民病院医療過誤騒動に関係した執刀医と上司の医師の間で繰り広げられた“泥沼告訴合戦”
NEWSポストセブン
被害を受けたジュフリー氏、エプスタイン元被告(時事通信フォト、司法省(DOJ)より)
《女性の体に「ロリータ」の書き込み…》10代少女ら被害に…アメリカ史上最も“闇深い”人身売買事件、新たな写真が公開「手首に何かを巻きつける」「不気味に笑う男」【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
2025年はMLBのワールドシリーズで優勝。WBCでも優勝して、真の“世界一”を目指す(写真/AFLO)
《WBCで大谷翔平の二刀流の可能性は?》元祖WBC戦士・宮本慎也氏が展望「球数を制限しつつマウンドに立ってくれる」、連覇の可能性は50%
女性セブン
「名球会ONK座談会」の印象的なやりとりを振り返る
〈2025年追悼・長嶋茂雄さん 〉「ONK(王・長嶋・金田)座談会」を再録 日本中を明るく照らした“ミスターの言葉”、監督就任中も本音を隠さなかった「野球への熱い想い」
週刊ポスト
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン