安倍首相は総選挙の公約に「全世代型」の社会保障への転換を掲げ、消費税率を10%に引き上げた時の税収を子育て支援や教育無償化にあてることを検討している。高齢者重視から若い世代重視への転換だ。
「内閣支持率は上向いたが、子育て世代の女性の支持が低い。そこで教育無償化を前面に掲げれば女性票を獲得できる」(官邸の政策スタッフ)という読みだ。
しかも、自民党税制調査会の宮沢洋一会長はその場合の財源不足を補うために、公的年金等控除の見直しを表明し、年金生活者への大増税を考えている。消費税増税は年金生活者を直撃するうえ、同控除まで廃止されれば、年金月額15万円の65歳以上の高齢者なら年間ざっと15万円の増税になる。
安倍政権の高齢者増税という政策も、番狂わせで選挙に敗れた英国の保守党と重なる。
65歳以上の有権者は約3500万人。これまで安倍政権の年金カットや医療・介護負担の大幅引き上げという高齢者狙い撃ちの政策で苦しめられてきたシルバー有権者がさらなる負担増を前に本気で生活防衛に立ち上がった時こそ、落選運動は全国民のうねりとなるはずだ。有権者が落選運動の「ターゲット」とすべき政治家は、自民党に溢れている。
※週刊ポスト2017年10月6日号