「途中休場を含め3場所連続で休場中の鶴竜は、次に出て負けが込んだら即引退。若手の充実を見ると、そうなる可能性は低くない。ただし、『横綱の引退』はできれば東京開催の場所でやりたい事情がある。後援会長やタニマチの多くは首都圏在住で、地方だと都合が悪い。そう考えると、鶴竜は九州場所も休んだ上で、初場所を“花道”に選ぶのではないか」
2020年の東京五輪まで現役を続けたいと“宣言”した白鵬も慎重に状況を見極めようとしている。出場すれば当然優勝候補筆頭だが、「ガチンコの土俵ではケガが怖い。長く続けるために、白鵬もそのリスクとどう向き合うか悩んでいる」(同前)とみられている。その“判断材料”となりそうなのが秋巡業だ。
10月4日には国技館で行なわれるイベント「大相撲ビヨンド2020場所」があり、翌日の千葉から巡業がスタート。関東近郊を回った後、東海、北陸から近畿、中国を巡り、同29日の広島まで、25日間で計22か所というハードスケジュールになる。ケガを抱える力士にはつらい日程だ。
現在のところ白鵬は“スポット参戦”が有力視され、「移動の負担が少ない関東近辺と最終盤の広島周辺といった要所だけの出場になるだろう」(別の担当記者)といわれる。“全休”しないことには理由がありそうだ。
上位陣にとって巡業は、伸び盛りの若手力士を土俵上で徹底的に「かわいがる」機会だ。
「かつて横綱・千代の富士が得意にしていたやり方で、巡業で当たった若手を完膚なきまでに土俵に叩きつけ、“勝てない”〝怖い〟という意識を植え付けてから本場所に臨む。白鵬もこれまで同じように、次の場所に初顔で当たりそうな若手をつかまえては、“恐怖”を植え付けてきた」(後援会関係者)
若手の台頭著しいなか、今回の秋巡業は非常に大きな意味を持ちそうだ。