◆大きな声は論理に勝る

 組織運営の上でも小池氏は大きな失敗を犯した。選挙の直前に、都民ファーストの会から音喜多駿氏、上田令子氏の両都議が離党して批判会見を開いてイメージダウンを招いたことだ。2人の離党の理由は共通している。音喜多氏が語る。

「トップダウンで論理的な説明がない。希望の党と都民ファーストが交わした政策協定も、午前中の議員総会で見せられて、午後には了承しろと。内容を精査する時間も与えられない」

 上田氏も「庁内では役人が知事の意向を忖度して都政が硬直化している。そうした問題を知事に提起しようと思っても、文書質問するなといわれて知事に届かず、都民にも伝えることができない」と言う。

 まさにトップの大きな声が論理に勝つという典型だ。

◆データ解析が恐ろしくご都合主義

 小池氏が得意とするのは奇襲作戦。安倍首相の解散に合わせた民進党の解党と希望への合流は大きな衝撃を与えた。だが、小池氏が「リベラル排除」を振りかざし、踏み絵を踏ませたことが批判を浴び、せっかくの勢いが逆風へと変わった。

「小池さんはリベラル排除を言えば国民の喝采を浴びると読んだのだろうが、国民が求めていたのは安倍政権との対決で野党の批判合戦ではなかった。小池人気に便乗したい民進党議員はどんな踏み絵も踏むと甘く考えていた。党内の情報分析が全くできていなかった」(民進党系候補)

 今からでも遅くない。小池氏はもう一度、「座右の書」を読み返してはどうか。

※週刊ポスト2017年10月27日号

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