「血中のリンの量の調節は腎臓の重要な機能です。腎臓の働きが悪くなるとリンが排泄されなくなり、血液中のリン濃度が上昇する。すると、血管が石灰化して動脈硬化が起こりやすくなったり、全身に炎症反応や細胞障害が発生して老化が加速する。特に慢性腎臓病の患者にはこの傾向が顕著に見られます。つまり腎臓を健康に保つことは寿命に大きく影響するといえるのです」
◆柑橘類の摂取も重要
では、腎臓を健康に保つにはどうすればよいのか。腎臓の不調は、足や顔のむくみ、体のかゆみや吹き出物として現われる。しかし肝臓と同様に「沈黙の臓器」といわれる腎臓は、そのような不調に気づきにくく、異常が判明した時は「人工透析やむなし」となってしまうケースが少なくない。秋津医院院長の秋津壽男氏が指摘する。
「手遅れを避けるためには定期的な健康診断で尿たんぱく数値を確認すべきです。数値が2+(プラス)を超えたら注意が必要と考えてほしい。
また、高血圧や体重増は腎臓に負担をかけるため、塩分や炭水化物の取り過ぎには注意したい。腎機能低下を防ぐには、尿からの塩分排泄を促すカリウムを多く含む柑橘類の摂取と、1日1リットル以上の水を飲むことが効果的です」
老化を促進するリンの過剰摂取も避けるべきという。
「リンは体に必要な栄養素ですが、不足することは少なく、過剰摂取に気をつけるべき。特に市販の冷凍食品には、ポリリン酸やリン酸塩を過剰に含む場合があるので注意です」(同前)
※週刊ポスト2017年11月3日号