◆稀勢より琴奨菊が人気
「横綱にとって『初顔』の相手は手の内が分からず、番狂わせが起こりやすい。かつて千代の富士が初顔の貴花田(当時)に負けて引退を決意した例が象徴的(1991年5月場所)。負ければ金星という重圧もあり、取りこぼしが増える」(担当記者)
初顔に強いか弱いかは横綱のなかでもタイプが分かれ、強い横綱の筆頭格が対初顔34連勝の記録を持つ朝青龍。白鵬も28連勝していたが、今年は初場所で荒鷲(前頭5=番付は今場所、以下同)、貴ノ岩(前頭8)という2人の初顔相手に黒星を喫した。「衰えが見える」(同前)と言われ始めた所以だ。
それ以上にピンチとみられているのが横綱として初めての九州場所を迎える稀勢の里である。
横綱昇進後、初顔との対戦で黒星はないものの、いずれも紙一重の相撲ばかり。新横綱として臨んだ5月場所は3日目に千代の国(前頭4)、5日目に千代翔馬(前頭6)と対戦。とくに千代の国との一番は土俵際に倒れ込みながらの押し出しで勝ちを拾った。続く名古屋場所でも2日目に初顔の貴景勝(前頭1)に土俵際まで追い詰められた(結果は突き落としで白星)。
「今場所は、稀勢の里の休場中に3場所連続2ケタ勝利をあげた阿武咲(小結)が初顔になる。激しい動きで相手を翻弄する21歳に手を焼くはず。また、思い切りのいい出足で攻める北勝富士(前頭3)との初顔も気を抜けない」(担当記者)