「まさに不眠不休。生後4か月を迎えた頃には、先の見えない闘いに疲れ果て、千璃を連れてアパートの屋上から飛び降りようと思ったことがありました」(美香さん。以下「」内同じ)
死を覚悟した美香さんがドアを開けると、さっきまでとめどなく泣き叫んでいた千璃ちゃんが、音楽を聴いてキャッキャッと笑っていた。
「ああ、この子は生きたいんだ」
この瞬間、美香さんに迷いはなくなった。目だけで30回を超えた手術代をまかなうためもあったが、周囲の一部に咎められても、好きだった仕事はやめなかった。2年後には長男が誕生。やがて子供は4人になった。
千璃ちゃんはその後、頭蓋骨を開けて骨を取り出して整え、また戻すという大手術などを経て、少しずつではあるが、着実に成長していった。
「わが家は3人の弟妹にとって、障害者と一緒にいるのが当たり前の環境です。次男はいつか研究者になって、千璃を治したいと言ってくれています。どの子も思いやりの深い子供に育ってくれています。千璃は決して、家族のお荷物などではない。それどころか、私たちにとっての希望の光なんです」
今では、成長記録の写真も増えた。千璃ちゃんの成長は、すべてが家族の喜びに変わるのだ。
※女性セブン2017年12月14日号