ライフ

【岩瀬達哉氏書評】占領期の密約で解明 秘められた日米関係

矢部宏治・著『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』

【書評】『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』/矢部宏治・著/講談社現代新書/840円+税

【評者】岩瀬達哉(ノンフィクション作家)

 北朝鮮の弾道ミサイルが、相次いで発射されるなか、米軍の戦略爆撃機が飛来し、空母が日本海で展開する。実にスピーディーな米政府による「軍の配備」は、しかし日本の安全保障のためではない。アジア地域での米国の権益を守ることにあると本書は指摘する。

 米国の「対日方針」では、「日本全土が防衛上」の軍事拠点と位置づけられていて、その太平洋上の要塞を守る必要があるからだ。著者は、このような秘められた両国関係を、占領期からの「密約文書」や「秘密公電」など貴重な資料を収集、分析することで見事なまでに解き明かした。

「戦後初の『本格的政権交代を成しとげた鳩山首相』」が、わずか9カ月で退陣に追い込まれたのも、「軍事面での占領状態」が続いていることに対する政権の認識不足からだった。「米軍が日本の国土全体を自由に使用」できるとした密約に抵触し、米軍が望まない「普天間基地の『移設』」を表明したことで、怒りを買ったのだという。

 選挙で選ばれた首相以上に、米軍が統治権を行使できる理不尽に甘んじなければならないのは、経済面でも米国に首根っこを押さえられているからだろう。米国という巨大な市場から閉め出されれば、日本は途端にやっていけなくなる。

トピックス

長男・泰介君の誕生日祝い
妻と子供3人を失った警察官・大間圭介さん「『純烈』さんに憧れて…」始めたギター弾き語り「後悔のないように生きたい」考え始めた家族の三回忌【能登半島地震から2年】
NEWSポストセブン
古谷敏氏(左)と藤岡弘、氏による二大ヒーロー夢の初対談
【二大ヒーロー夢の初対談】60周年ウルトラマン&55周年仮面ライダー、古谷敏と藤岡弘、が明かす秘話 「それぞれの生みの親が僕たちへ語りかけてくれた言葉が、ここまで導いてくれた」
週刊ポスト
小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン