昨年あたりからメディア業界で指摘されているのは、嗜好の多様化・細分化。人々の関心事が多様化・細分化されている分、1つあたりの熱や価値が落ちているのです。
さらに、ネットメディアがページビューやユニークブラウザなどの数字を取るために記事を量産することで、ランキングやアワードが埋没。次々に新たな記事がアップされることで、翌日には「古いニュース」になってしまうなど、さらに情報的な熱や価値は落ちてしまいます。
また、見逃せないのは、人々の安定志向。たとえば、『好きな女性アナウンサーランキング』のトップ10は全員が30代以上であるように、かつてのような若さや美ぼうよりも、安心感や親近感を好む傾向が強くなっています。
そんな安定志向は、これらのランキングやアワードを長年続けてきたことによる金属疲労によるものもあるでしょう。そんな背景があるにも関わらず、年々新たなランキングやアワードが増えているため、人々は“ランキング疲れ”“アワード疲れ”を起こしているのです。
ランキングやアワードの結果が安定的なものになると、必然的にニュースとしてのトピックス性が落ちるため、テレビ番組での扱いも激減。「そりゃそうでしょ」「普通すぎる」ものを長々と放送するわけにもいかず、チラッとふれる程度で終わってしまいます。
実際、流行語大賞の「インスタ映え」「忖度」について、MCやコメンテーターたちがあれこれ議論を交わすシーンはあまり見られませんでした。4年前、「じぇじぇじぇ」「倍返しだ」「今でしょ!」「お・も・て・な・し」の4語が同時受賞したときのような「僕はこれがいい」「私はこれが一番だと思います」、昨年の「『神ってる』は相応しいのかな?」「私は使いませんでしたね」などの熱っぽいやりとりがなかったのです。
◆発表前に結果を見透かされる悪循環