現在、前立腺がんの放射線治療は陽子線や重粒子線が効果を上げている。がんが前立腺内にとどまっている場合、これらの治療が可能だが、周囲のリンパ節に転移している場合は治療の適用ではない。
「従来の放射線治療だと軽度の直腸炎や膀胱炎などの合併症が起こることもありました。しかし、放射線トモセラピー治療を用いれば、合併症や近年問題になっている治療による尿漏れや尿失禁、EDなどの後遺症も少なく、手術と同等の治療効果を得られるようになっています」(黒部長)
JCHO東京新宿メディカルセンターでは、泌尿器科と放射線治療科が緊密に連携をとり、患者にとって最適な治療の選択肢を提供している。
前立腺がんに対する放射線トモセラピー治療は保険適用になっており、患者のQOL(生活の質の向上)に配慮した低侵襲な治療として期待が大きい。
●取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2017年12月22日号