国内

「荷受け代行」詐欺 SNSを通じて被害者続出の内幕

「荷受け代行」アルバイトのつもりが…

「荷受代行」「荷物転送」のアルバイトを引き受けただけだったのに、気づけば自分名義で高額なスマホの購入契約を勝手にされ、代金を請求された。そんな相談が増えており、国民生活センターでも注意喚起をしているが、なかなか被害がなくならない。とくにSNSの友人や有名インフルエンサーなど「信用」している相手からの情報だと、普通のアルバイトだと錯覚する人が後を絶たない。ライターの森鷹久氏が、アルバイトのつもりが二十万円超の請求をされた被害の実態を聞いた。

* * *
「荷物が二つ届き、三千円を手渡しで貰えました。本当に稼げるんだと舞い上がり、生活費の足しになればと5個、6個と荷物を受け取ったのですが……」

 こう話すのは、北関東某市在住の主婦・和美さん(仮名・30歳)だ。ある日、SNSを眺めていた時に、和美さんの目に飛び込んできたのは「空いた時間で稼げる在宅ワーク」「即日現金払い」などといった文言とともに、大量の紙幣写真が掲載された投稿だった。

 投稿には「簡単すぎる」「本当に儲かった」などのコメントが返信されており、いずれのアカウントも「怪しい業者」然ではないように感じられた。

 投稿者にDM(ダイレクトメール)を送ると、数時間で返信が来た。

「自宅を空けがちな人の荷物の受け取り代行、と説明されました。モノによりますが、荷物一つを受け取って1000円程度の収入がもらえるとのことで、家で育児をしながらも出来そうだとやってみることにしたんです」(和美さん)

 和美さんは、この業者(投稿者)から言われるがままに、自身の自宅住所や携帯番号を教え、また本人確認のためにと「免許証」の写真まで送った。後日、実際に荷物が届くと、業者から即連絡が入った。

「届いた二つの荷物を取りに来る、ということで自宅で待っていると、スーツ姿の男性が来られました。初回なので、と言われ荷物2個分、三千円の現金が手渡しでもらえたのです」

 妊娠前は老人ホームのパート職員だった和美さん。子供が生まれたばかりで、自宅にいても可能なアルバイトは本当にありがたかった。「もっとバイトを増やしたい」と業者に告げると、翌週、翌々週にはさらに荷物が届く、との約束をしてくれた。ただし、荷数が増えれば、報酬は手渡しではなく、税金処理などもある為に「銀行振込」になる旨も説明された。

「三千円の報酬を受け取ったからか、全く疑ってなかったんです。領収書も書いていないし、今考えれば相当に変ですよね。翌週5個荷物を受け取って、南関東某所の住所に荷物を転送しました。翌々週は6個の荷物を同じように……。その直後、連絡が取れなくなりました」

 月に一万でも稼げれば生活費の足しになる……。そう思っていた和美さんだが、連絡が取れなくなったことで、また、転送にかかった料金代を考えて、次第に「騙された」と思うようになった。さらに……。

「上手いこと言って転送費用をだまし取る“タダ働き詐欺”とかあるのかな? とネットで調べたところ、個人情報が悪用される詐欺で、2015年頃から被害者が続出している、と書かれているのを発見しました。頭の中が真っ白になり、警察に相談しましたが、被害が出ているかわからない状態では動けないと言われてしまい……」

 和美さんの元に、身に覚えのない請求書が届いたのは、最初に荷物を受け取ってから約一ヶ月半後のことだった。いわゆる「格安携帯会社」の名前が書かれた請求書が届いた。和美さんが契約したとされる携帯回線の利用料金とともに、和美さんの名義で購入されたタブレットやセットで購入されたパソコンなどの端末費用などが上乗せされ、その額は二十五万円を超えていた。アルバイトを始めるときに送った免許証の控えが悪用されたのだ。

関連記事

トピックス

公務に臨まれるたびに、そのファッションが注目を集める秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
「スタイリストはいないの?」秋篠宮家・佳子さまがお召しになった“クッキリ服”に賛否、世界各地のSNSやウェブサイトで反響広まる
NEWSポストセブン
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』でハリー・ポッター役を演じる稲垣吾郎
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』に出演、稲垣吾郎インタビュー「これまでの舞台とは景色が違いました」 
女性セブン
麻薬取締法違反容疑で家宅捜査を受けた米倉涼子
「8月が終わる…」米倉涼子が家宅捜索後に公式SNSで限定公開していたファンへの“ラストメッセージ”《FC会員が証言》
NEWSポストセブン
巨人を引退した長野久義、妻でテレビ朝日アナウンサーの下平さやか(左・時事通信フォト)
《結婚10年目に引退》巨人・長野久義、12歳年上妻のテレ朝・下平さやかアナが明かしていた夫への“不満” 「写真を断られて」
NEWSポストセブン
人気格闘技イベント「Breaking Down」に出場した格闘家のキム・ジェフン容疑者(35)が関税法違反などの疑いで逮捕、送検されていた(本人SNSより)
《3.5キロの“金メダル”密輸》全身タトゥーの巨漢…“元ヤクザ格闘家”キムジェフン容疑者の意外な素顔、犯行2か月前には〈娘のために一生懸命生きないと〉投稿も
NEWSポストセブン
司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
バスツアーを完遂したイボニー・ブルー(インスタグラムより)
《新入生をターゲットに…》「60人くらいと寝た」金髪美人インフルエンサー(26)、イギリスの大学めぐるバスツアーの海外進出に意欲
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
ハワイ島の高級住宅開発を巡る訴訟で提訴された大谷翔平(時事通信フォト)
《テレビをつけたら大谷翔平》年間150億円…高騰し続ける大谷のCMスポンサー料、国内外で狙われる「真美子さんCM出演」の現実度
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の公判が神戸地裁で開かれた(右・時事通信)
「弟の死体で引きつけて…」祖母・母・弟をクロスボウで撃ち殺した野津英滉被告(28)、母親の遺体をリビングに引きずった「残忍すぎる理由」【公判詳報】
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン