国内

児童ポルノ「単純所持」への危機感はなぜ薄いのか

無関心が危険を高めていないか

 2014年に改正児童ポルノ禁止法が成立し、子供のわいせつな写真や画像などを所持していることも禁じられた。それから3年が過ぎ、児童ポルノの単純所持による逮捕者が相次いでいる。ライターの森鷹久氏が、児童ポルノの単純所持に対する危機感が薄い風潮への警鐘を鳴らす。

 * * *
 昨年5月、国内最大規模とも言われた「児童ポルノ販売サイト」が摘発されたことで、警察当局は約7000名にも及ぶ“顧客”の存在を突き止めた。その中には有名漫画家や警察官、警察職員や役人も名を連ねていた。その後、児童ポルノを購入する常連が書類送検されたり、依願退職が相次ぐなど、愛好家の間に衝撃が広がっているのだという。

「業者が逮捕される、というのは当然想定内。ヘビーな愛好家は偽名を使ったり連絡先を架空のものにしたり、送り先を“民泊”に指定するなどいろいろな手段で“児童ポルノ”を入手する。今回、顧客として当局にマークされた人々は、かなり昔からの“愛好家”であり、業者に対する信頼みたいなものがあったはずです」

 こう説明するのは、元アダルト雑誌の編集者・X氏だ。X氏は編集者時代、制服の若い女性や投稿された盗撮写真を多く掲載するアダルト誌を制作していた。いわゆる「ロリコン」や盗撮に興味を示す読者が多い環境の中で、彼らの動向をチェックしてきたが、児童ポルノのやりとりはすでに、よりアンダーグラウンドな空間の中で秘密裏に行われるようになったと話す。

「児童ポルノは“単純所持”でも摘発対象になりましたから、今回のように足がつくことを愛好家は最も恐れる。つい最近までは、ネット上のクラウドサービスを使ったやりとりが主流でした。鍵付きのフォルダに大量の児童ポルノを入れておき、入金してきたユーザーにそのパスワードを教える、という方法です。しかし、そのサービス業者へ警察からの“開示請求”があれば、アクセス解析で一発でバレる」

 児童ポルノの単純所持で摘発されると、当然自宅や職場に”ガサ”が入る。パソコンや携帯電話などが押収され解析されると、そこから遡って“クラウドサービス”を利用していたことがバレて、それこそ芋づる式の大量検挙につながるという。

「そこでTor(トーア)などの匿名化ソフトを使ったり、より限られたユーザーだけに解放したマストドンサーバーなどを用いてのやりとりが主流になりつつある」(前出の元編集者X氏)

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン