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話題の“残念和食”に対しフォローと問題視、両側の意見

和食崩壊の危機を救うため子供たちに食育をする高木さん(中央)

 食卓の危機を著す、現代の一般家庭の食卓を写真に記録した『残念和食にもワケがある―写真で見るニッポンの食卓の今―』(中央公論新社)。同書には、「白いご飯は味がないから嫌だ、と子供が食べないから出さない」「ラーメン以外はすべてスプーンで食べる。お子様プレートは盛りやすく片付けやすいから大人もよく使う」「ピザと刺身を組み合わせる日もある」「みそ汁は作らない。代わりに牛乳や麦茶を飲めばいいから」など衝撃のレポートが記載されている。

 残念和食を改善しようにも、共働きが増え、料理に手間をかけられない現状がある。人材サービス会社『しゅふJOB』が2017年に行った調査によると、働く主婦がいちばん短縮したい家事は料理(55.9%)だった。

『「和食」って何?』(ちくまプリマー新書)などの著書を持つ、作家で生活史研究家の阿古真理さんは、そんな“残念和食”には社会進出した女性の知恵も含まれていると力説する。

「いわゆる“一汁三菜”の和食は、専業主婦が当たり前で、料理に時間をかけることができた時代だからこそできたことなんです。現代の多忙な女性たちが日替わりの献立を考えるのはかなりの負担です。おかずをご飯にのせる“のっけご飯”だって立派な和食になるのではないでしょうか」

 阿古さんは続けて、「自分の料理を『残念な和食だ』と決めつけ、自信を失わないでほしい」と訴える。

「食卓でいちばん重要なのは、楽しく栄養を摂ること。栄養が極端に過多だったり不足したりしていないのであれば、何を食べてもいいと思うんです。和食の定義だって時代とともに変わっていきますよね。そもそも、日本全国で白いご飯を食べられるようになったのは高度経済成長期からですし、それまではほうとうやすいとんのように、汁物に穀物を入れた一品料理も珍しくなかったのですから」(阿古さん)

◆和食の肝はだしにあり、日本人にはそのDNAがある

 とはいえ、昔ながらの和食を伝承させる努力も必要だろう。ミシュラン二つ星を獲得している和食の名店『京料理 たか木』店主の高木一雄さんは、味覚が育つ時期の子供たちに、少しでも和食のおいしさを伝えたいと奮闘中だ。『和食給食応援団』の西日本代表を務め、小学校でだしのとり方を教えるなど、和食に関する授業を請け負っているのだ。

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