大河に合わせた歴史発見がやたらと多いのは、大河の主人公に世間の注目が集まることで、隠れた史料が掘り起こされるという要因に加え、時に公開する側の事情もあるようだ。日本近代史が専門で『新版南洲翁遺訓』の翻訳者でもある大阪大学名誉教授の猪飼隆明氏が語る。
「歴史研究者にとって、考古学的発見が新聞の一面に出るかどうかで文科省から出る研究予算の額がガラッと変わるので発表の時期は重要です。タイミングがよければ一般の人の注目も集まりますし。しかし私は研究者として、重要な発見であればすぐ世の中に公表されるべきだと考えます」
毎年、大河主人公の出身地は、観光ブームで盛り上がるが、学術の世界でも同じことが起きているということである。
※週刊ポスト2018年2月2日号