大抵はこうした事情が重複し、別居するなどの家庭の実態が失われてしまっていることがほとんどで、納得できる場合です。もし、奥さんの料理拒否がきっかけで互いの愛情が失われ、その結果、別居しているといったような場合には離婚事由を認めてもらえる可能性はないとはいえません。
しかし、同居しており、奥さんが料理以外の家事をしているような場合は疑問です。専業主婦を前提とする結婚であっても、食事は奥さんの手料理でなければ困るということではありません。そもそも結婚はコックを雇うことではないのです。家事の分担を考え、時間をかけて奥さんの気持ちを解きほぐすべきであると思います。
【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2018年2月16日・23日号